インタビュー

【ぼくたちの子育て】夫婦ふたりで家事・育児・仕事!めざすはワンチーム家族|ヌーラボ 國廣輝夫さん

僕たちの子育て

福岡発、グローバルに展開するIT企業として全国的にも注目を集める株式会社ヌーラボ。國廣輝夫さんは2016年入社、妻の慈(めぐみ)さんは17年に入社し、19年4月に職場結婚。今年20年3月、第一子が誕生しました。國廣家の育児が少しユニークなのは、妻が一足早く復職し、夫の方が妻よりも長く、一年間の育休を取ったこと。その理由とは? 攻守自在な國廣夫妻のチームワークには、子育てのポイントやヒントがたくさん見つかりそうです。

■プロフィール

國廣輝夫さん

株式会社ヌーラボ プログラマー
1989年10月生まれ。山口県山口市出身。名古屋大学でプログラミングを学び、東京のIT企業にプログラマーとして入社。2016年、ヌーラボへ転職し、現在、福岡勤務。同社へ入社を決めたのは、自分がユーザーとして実際に使っているサービスを作っている会社だったから。現在、ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo (カクー)」のプログラマーとして活躍。

立ち合い出産時の夫の神サポート

――職場結婚ですね。出会いから何年目のゴールインですか?

國廣:交際を始めた頃から、お互いに自然に結婚を考えていた感じで、出会って2年で結婚しました。

――妻の慈(めぐみ)さんとは同い年ですが、どんなパートナーシップですか?

國廣:妻の方がしっかり者ですね。日常生活で注意されるのは僕の方です。「洗濯物、置きっぱなしだよ」とかですね(笑)

――手伝うつもりなのに、言われるとするのが嫌になるという人もいますが、そんなことはないですか?

國廣:ないです(笑)。妻の言い方は結構優しく、配慮を感じています。

――そういうところ、大事ですよね。子どもを持つことについては、結婚前に話すことはありましたか?

國廣:結婚前から子どもは欲しいねと話していました。その割に妊娠したことに気づくのが遅くて。なぜか妻の体調がひどく悪いもんだから、胃カメラを予約していたんです。撮る前日に妊娠検査薬で調べて、初めて気づいた次第です。それが昨年の9月のことで、すぐに二人で産婦人科に行くとすでに妊娠4ヶ月で、二人して驚きました。その時ももちろんうれしかったし、翌月には男の子だと分かって、性別にはこだわりはありませんでしたが、「あぁ、赤ちゃんが生まれるんだな!」って実感が湧いた瞬間でした。

――出産に立ち会われたそうですが、難産だったそうですね。

國廣:陣痛が始まってから僕も3日間、病院に通いました。予定日を1週間越えていたので誘発分娩することになり、2日目に陣痛促進剤をしたのですが、今度は陣痛が強く出過ぎて赤ちゃんが弱ってしまい、いったんストップ。結局、陣痛が始まってから出産までに30時間かかりました。

病院内に家族の宿泊施設はないので、僕は朝行って、夜帰るんですが、妻が本当に大変そうで、ずっと付き添っていましたね。

――その付き添い方が、妻からすると、「神」だったとか。

國廣:夫ができることをYouTubeなどで調べると、痛み逃しにはテニスボールでお尻を押してあげると良いとのことだったので、ずっと押していました。確かに妻に「本当にお産の立ち合い初めてなの?」と驚かれるくらい上手だったようです(笑)。

あと、褒められたのが、100円ショップで買ったストロー付きのペットボトルキャップ。寝ていると、ペットボトルからお水が飲めないでしょう。ペットボトルキャップは絶対買っておいた方が良いです。

本陣痛が始まったら、呼吸が早くなると痛みが増すので、「ゆっくり、ゆっくり」と声掛けも続けました。立ち合いは夫のみとしている病院で、妻の母も入れなかったのですが、「もし僕がいなかったら、30時間耐えられたかどうかわからない」って、妻は言っていました。

――素晴らしい共同作業です!

國廣:立ち合い出産する時に、夫がいろいろやらかしてトラブルになるケースも多いと聞いていたので、そうならなくてよかったなと(笑)。長い時間がかかった分、生まれた時は感動でした。

出産に向けて家族のプランを設計し、お互いの仕事について何度も話し合いました 僕たちの子育て 國廣さん

出産に向けて家族のプランを設計し、お互いの仕事について何度も話し合いました

――お子さんの誕生が2020年3月です。慈さんはすでに復職していますが、輝夫さんは21年3月まで育休を取っているんですね。

國廣:妊娠が分かって、すぐに「仕事どうする?」という話になりました。その時、妻が僕に「育休を取ってみたら」と軽く提案してくれたんです。育休の制度は当事者にならないと意識しないものですし、前職でも今の会社でも育休を取った男性を見たことがないし、本当に取れるのかなとさえ思っていました。でも、会社に打診したら快諾でした。

当初は、僕の育休は3カ月間の予定だったんですが、実際に育児をしてみると思った以上に大変で、後から1年間に延長したんです。

――妻より夫の育休の方が長くなったいきさつは?

國廣:一言で言うと、経済的理由です。将来的に子どもが増えることを想定すると、安定した収入を維持するためには共働きが良いと僕たち夫婦は思っているんですね。そのためには僕だけでなく、妻もスキルアップが必要です。妻の今の部署は広報なのですが、この仕事は子どもができるたびにブランクができると、キャリア構築が難しくなりがちな職種。それで今回も彼女が僕よりも早く職場復帰しました。

僕のプログラマーという職種は専門職でもあり、ブランクにあまり影響を受けにくいと感じています。それで僕の方が長く休むことにしたんです。

――夫の育休が妻のキャリアを応援することにもつながるのですね。

國廣:僕の方も妻が働いてくれているので、安心して専業主夫に没頭できるっていうのもありますよ。

まだしゃべれない息子と対話ができる不思議

まだしゃべれない息子と対話ができる不思議 僕たちの子育て 國廣さん 
――家事分担、育児分担はどうしていますか?

國廣:結婚当初から明確に分担はせず、どちらか一方しかできないという家事がない状態にしてきました。今は料理は妻、掃除は僕、後は手が空いている方が気づいた時にするという感じになっています。僕にしても料理も苦にならないので、妻の復職後は、大人の食事だけでなく、離乳食も作っています。

――離乳食もですか?

國廣:妻に教えてもらいながらですけど。

――育児に対して不安を感じることはありますか?

國廣:出産後1カ月は妻は実家で過ごしていたので安心感がすごくあったんですけど、親子3人で生活が始まる時は「部屋が狭いけど大丈夫かな~」などいろいろと不安でした。でも、トラブルもなく5カ月が過ぎたところです。ただ、妻が復職した9月の初めは、これから本当の専業主夫だと思うと、かなり不安でした。

――今、輝夫さんとお子さんはどんな一日を送っているんですか?

國廣:起床は朝7時です。妻が授乳して仕事に入る間に、僕は朝ご飯を済ませます。会社が完全にリモートワークに移行していて、妻は家で仕事をするのですが、家事育児はすべて僕の担当です。

午前中は息子と遊んだり、おむつを変えたり。そうしているうちに、息子が眠くなってくるので、寝ている間に料理の仕込みや掃除、洗濯をします。

息子が起きたらお散歩がてら買い物を済ませ、帰ってくるのが11時くらいです。離乳食や夫婦のお昼を作って食べて、午後はまた息子と遊んで寝かせて、その間に夕食の準備という流れですね。夕方5時半ごろから息子をお風呂に入れ、夜7時に寝かしつけをしたら、そのあとは夫婦でのんびり過ごします。

――子育てでこだわっていることはありますか?

國廣:たくさん話しかけるようにしています。喜んでくれるし、応えてくれるんです。いろいろ話しかけていて、時々、「そうだ、息子はまだしゃべらないんだった」とハッとすることがあるほど。そのくらい語り合っているというか、対話が成立しているから、我ながら不思議です。

お互いにリスペクトする気持ちが深まり、チーム感が高まった

――子どもができて何か価値観の変化はありましたか?

國廣:育児がこんなに大変だとは、想像できなかったですね。育休も最初は3カ月で十分だと思っていたのですが、1年取ってもいいなって思ったほどですから。

―― 一番大変なのはどんな時ですか?

國廣:やはり、赤ちゃんが泣く時です。泣き止むまでガッツリ向き合わされることです(笑)。可愛いから平気だと思っていたら、全然そんなことはなくて、気分が落ち込んでいきます。気分転換にちょっとYouTubeを観ようと思っても、それができませんからね。リフレッシュする時間がないのは、案外メンタルをやられるものです。基本的に妻には迷惑をかけないようにしていますが、妻とちょっと言葉を交わすだけで、気持ちが入れ替わるので救われています。

今も女性だけが育休を取って育児しているケースが断然多いはずですが、すごいことだな~と心から思います。

―― パートナーシップもさらに深まったのでは?

國廣:妻は「チーム感が出てきた」と言ってくれます。

――ワンチームですね。

大変なのも大変ですが、すごく楽しいので、僕にとってこの1年間は非常に価値ある時間です。

――世の中の男性にも育休取得を勧めたいですか?

國廣:育休は良い制度ですが、「誰もが絶対取ったほうが良い」というわけでもないと思います。僕たち夫婦は取ったほうが良い感じになるかなというのが見えていたので取ったわけですが、育休を前提に考えてしまうと、いろいろなことがゴチャゴチャになってくるんです。

ですから、「こうすべき」と考えるよりも、その時の自然な流れに任せたほうがいいのかな。これは育児全体について言えることかもしれませんね。僕が来年4月に職場復帰したら、息子を保育園に預けることになると思うのですが、うまく回っていくのかなと不安があります。でも、その時々で「これがいい感じじゃない?」というのを夫婦で見つけていければいいのかなって思っています。

取材後記

國廣さん夫妻は、職場を同じくする同僚でもあり、お互いのキャリアを尊重する姿勢が印象的でした。それは夫婦関係づくりの潤滑油になることはもちろん、二人で稼ぐことで経済的な屋台骨を築くことにつながります。お二人とも3人兄弟の家庭で育ったため、将来めざすのは、「子ども3人の5人家族」だそうです。ご夫婦に、赤ちゃんを迎えて3人ワンチームの絆で結ばれる國廣家。将来はますます賑やかになりそうな……早くもそんな気配です。

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